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by 日向夏
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八巻の続きボツ案
じたばたと横抱きにされて連れていかれた猫猫。
寝台に置かれ、見上げると熱っぽい壬氏の顔が見えた。猫猫は視線を壬氏の顔から下腹部へとずらす。焦げた匂いが鼻につく。
「治療させてください」
「断る」
「治療させてください」
「嫌だ」
焼け焦げた痕を早く処置したい。今、どんなに急いだところで、焼き印の痕は無くなることはない。ただ、苦痛に歪む壬氏の顔をどうにかしたかった。
「壬氏さまは自分が何をしたのかわかっていないのですか?」
「わかっている」
「わかっているなら……」
ぽすんと猫猫の肩に壬氏の額が落とされた。髪についた香の香しい匂い、それとともに蒸気のようなものを感じる。火照った身体は興奮しているのか、緊張しているのか。
(弱みを見せないでほしい)
人前に出るような完全無欠の天上人であってほしい。
偉そうに人を駒のように使い、疲弊させるだけ疲弊させて、自分は高見の見物をしているような……、そんな権力者であればいい。
こいつと自分は別の生き物なのだとはっきり線引きさせてほしい。
それなのに――。
弱みを見せられると弱い。抗えなくなってしまう。
猫猫の肩にかかった重みは次第に強くなる。気が付けば、全身に重圧がかかっていた。
抱きつぶされるままの猫猫、抗おうと考えようにも、壬氏の傷をえぐるような気になってしまう。
(我ながら甘い)
猫猫は息苦しさを覚えるほど抱きしめられつつ、現実から逃避するように目を瞑った。
「あら、猫猫疲れた顔ね」
姚が首を傾げながら猫猫を見る。
「そうですか……」
猫猫は眠気まなこのまま医務室の掃除をする。
昨晩、いや今朝のことは何もなかった。
何もなかったことにするのが、猫猫のできるうる選択だ。
「……あんにゃろ」
だるく眠い身体を動かしつつ、年末の大掃除はなかなか終わりそうにない。